画像説明:【セイラムの魔女裁判】最初は子供の悪ふざけ(エクソシスム)と人種差別が原因。
現代の裁判は「魔女狩り」が故郷です

歴史を知れば知るほど、「西洋から率先して学ぶものなんて無いよな~」と感じているんだけど、現代裁判のシステム(司法制度)こそはその筆頭と思っていたんだよね~。
・・って事で、
みなさんと司法にまつわる歴史的基礎知識を共有する為、西洋の黒歴史こと「魔女裁判」を中心に紹介してみますね。
1200年代中ごろ、フランス南部のキリスト教・アルビ派への弾圧が魔女裁判(異端審問裁判)のすべての前身。

広義においては、フランス・ドイツを中心に14世紀辺りから約400年にわたり吹き荒れた「ローマ法王庁(バチカン)と異なった解釈をするキリスト教徒を見つけ出し判定する、一連の異端審問裁判」を、通称魔女狩り・魔女裁判と呼んでいます。
全盛期は、1492年スペイン『グラナダ陥落』~16世紀中葉『プロテスタント運動』まで。

《概要》
老若男女の区別なく、敬虔なキリスト教徒がデタラメな裁判の末拷問にかけられ、その内約10万人が異端者(悪魔との契約者=【魔女】)として処刑された中世欧州に横たわる黒歴史。
裁判は、主に言いがかりや風評が重要証拠として採用。
気になる拷問内容は、火炙り・水責め・逆さ吊り&地面叩きつけ・『マリアの抱擁』や『イスパニアの長靴』に代表される拷問器具を用いた自白強要が繰り返されました。(拷問途中の死亡・性犯罪は日常的)
審問官には、法王庁から派遣されたドミニコ教会・フランチェスコ教会の神父が主に就任。
注(冒頭画像):17世紀末にはアメリカにも魔女裁判は飛び火。『セイラムの魔女裁判』で検索。

《魔女が疑われる嫌疑の一例(実話)》
- あいつが近くを横切った後、飲みかけのビールの味が酸っぱくなった
- さっきまで晴れていたのに、あいつが通った後天候が急変した
- 子供が死んだ。あいつが呪ったんだ
- 黒い猫(カラス)があいつを追いかけていた
- 応用編
- 求婚を断られた、腹いせにバチカン(異端審問官)に通報しといた
- 政敵が憎い、腹いせにバチカンに通報しといた
- 領土が欲しい、攻め込む理由づくりのためにバチカンに通報しといた
《魔女裁判の実情(実話)》
- 裁判官&拷問官の日当・裁判費用・火あぶりの薪代は被告持ち(ほぼ全財産処分)
- ほぼ例外なく有罪(ワイロで助かる場合アリ)
- 街で評判の若く魅力的な(特に女性)を片っ端から・・
- 川や湖に投げこみ、水に浮く者は魔女(聖なる水は邪悪を拒否する=沈んだものは無実が証明されるが溺死する)
- 自白し、有罪判決を受け入れた魔女は処刑した後火あぶり
- 自白を拒否し、裁判結果を否定した魔女は生きたまま火あぶり

《魔女裁判の法典・権威》
- 法典=魔女への鉄槌
- 権威=ローマ教皇(バチカン)
ローマ教皇インノケンティウス八世がお墨付きを与えてしまった『魔女への鉄槌』(クラーメル・シュプレンゲル著・1486年)は、魔女裁判の根拠法として確立され、無実の人々の命を無残に消し去る「教皇教書・権威」としておおいに利用されました。
『魔女裁判』は未解決大量殺人の黒歴史です
「欧州やアメリカで吹き荒れた魔女裁判の結果、本物の魔女が何人処刑されたかご存知でしょうか?」
大量の魔女容疑者(拷問を受けた人々)と約10万人の処刑者を輩出した傍らで、発見できた本物の魔女の数は0人です。
その反対側で、冤罪を蒔き散らす事に協力した当時の王侯貴族・聖職者・商人・学者等は、ほぼ誰一人として加害責任を問われる事のないままに天寿を全うし終えたのです。
~罪なき者が迫害・処刑され、罪人が財と権力を手にして見逃される~
これが魔女裁判(異端審問)の偽らざる等身大にして、現代裁判の故郷なのです。

いや~、現代社会だって『魔女裁判』と同じようなシステムを採用しているように感じません?
例えば↓これ、どう思う?
例えば・・
- 戦前から【ハーグ陸戦協定】が存在していたにもかかわらず、東京裁判は許され、占領下で日本国憲法は出来上がり、米軍が日本に為した無差別爆撃や原爆投下の戦争犯罪はまったく裁かれてもいませんね。
- 戦後から【国連】が存在していたにもかかわらず、アメリカが作為的に引き起こした朝鮮戦争・ベトナム戦争・旧ユーゴ内戦・アフガン・イラク戦争・シリア内戦は見逃され、現下のロ・ウ戦争だって全く阻止する事は出来ていません。むしろ卑怯にも国連では常任理事国が認められ、いまだ敵国条項が存在するダブスタ基準が蔓延していますね。

本当だ~
『魔女への鉄槌』『教皇教書』の精神とどこが違うっていうんだろう・・
冤罪を吹っ掛けられ潰された大日本帝国とイラクは本当に可哀そうだよな~。

む、むしろ魔女裁判のメカニズム(善悪・賞罰の逆転現象)は、終息するどころか世界中に蔓延しているように感じるんだけど・・
(気のせいかな~)
歴史に時効無し、正しい総括が必要!

魔女裁判全盛期と時を前後に開始された、列強国による植民地・奴隷政策。
人類は、いまだ発展途上国に当時の爪痕を数多く残す貧困と憎悪の根源を、裁き切れてはいませんね。

「ハイドパーク密約」(日本人に対する原爆使用の合意)を結んだ英チャーチルと米ルーズベルトは、いまだ全人類から公平な裁きを受けていませんね。
私たち人類は、
- 魔女狩り(異端審問裁判)を総括することなく
- 植民地・奴隷政策を総括することなく
- ハイドパーク密約を総括することなく
真の国際和平を実現させることは不可能と思えるのです。
歴史の検証に時効はありません。
ならばこそ、私たちは過ちを繰り返さない為にも、戦勝国のご都合主義におもねることなく正史から導き出される功罪こそを総括すべきですし、魔女裁判のコピーの様な現代司法制度の在り方についても、早急に見直し・メンテナンス作業を施すべきだと思うのです。
以上、
【冤罪の歴史1:魔女裁判と現代の司法制度の関係性】
続きは後編へ・・