画像説明:【本年もよろしく】あけましておめでとうございます!
年神様(としがみさま)はどんな神様?
みなさんは『年神様』って聞いたことありますか?
ここではお正月にお迎えする神様・・『年神様』について、みなさんにも分かり易いように解説していきます。
一年に一度お越し下さる『開運』要素満点の『年神様』からたくさんの幸福(賜物)を頂くためにも、失礼のないようにしっかり準備してお迎えしましょう。
年神様の由来・ご神名について
古事記に曰く・・『素戔嗚尊』と『神大市比売』との間にお生まれになったのが『大年神』で、この神様が『年神様』と呼ばれています。
また各地方によっては、『歳神』『正月様』『御歳徳(どんと)さん』『恵方神』『年爺さん』などの別名で呼ばれている地域もあるようです。
『年神様』の後に生まれた神様は稲荷信仰で有名な『宇迦之御魂神』です。
年神様の象徴・神格は?
『年神様』ついては3分野の神格を現わしていると信じられています。
それぞれを簡単に紹介してみましょう。
神様の力①穀物神・田んぼ農耕の神様
「年」とは元来、我が国では稲作の周期と同じ意味でした。
1年の始まりに
- 田を耕し
- 水を引き
- 苗を植え
- 草を取り
- 管理・見守り
- 収穫し
- 乾燥・脱穀し
- 神様とともにお米をいただき
1年の終わりに田を休ませ、新たなる年の準備をする。
この周期が1年とされ、この間の農作業全般を常に見守ってくれる神様が『年神様』だとされているそうです。
この様な理由から『年神様』の「年」は稲作・農耕を意味しているとされ、実りを司る農耕神としては無論、1年の始まりをお祝いする象徴神としてもふさわしく、古くから人々の信仰を集めてきました。
ちなみに、前出の妹神『宇迦之御魂神』も『豊受媛神』と同一視される『田の神』様で、それぞれ『全国稲荷社(総本社伏見稲荷大社)』・『伊勢神宮(外宮)』にお祀りされている大変有名な神様となっています。
神様の力②生死(寿命)を司る神様
農耕の循環(サイクル)は、稲(種)を植え・成長し・収穫するの循環によってなされています。
これは言い換えるなら、生命の「誕生・成長・死」の循環にも通じる概念で、その結果『年神様』は生き物の生死(寿命)を司る神様ともみなされるようになりました。
神様の力③祖先神と同一視
『田の神信仰』と『山の神信仰』は日本に古くから伝わる土着信仰の名残だそうですが、どちらにも共通する言い伝えが・・
「いつも高い場所(山など)から人々を見守り、一年のある時期に耕作地(田んぼなど)に御下りになり、命や収穫を約束してくれるありがたい存在(神様)」
・・と考えられてきたそうです。
いつの頃からか、このような信仰が先祖崇拝(あの世から一族の安否を見守ってくださり、盆や正月に帰ってきてくれる先祖の霊)と同一視されるようになり、『年神様』は『祖先神』としての側面をあわせ持つようになっていったとの事です。
年神様とお正月との関係は?
実は『年神様』とお正月は切っても切れなほど密接な関係性があるんです。
お正月は単に「暦が変わる事・年が新しくなる事」を、迎えたり・祝ったりする期間としての意味だけでなく・・
①農耕(田んぼ)の一周期
②生命活動(人の齢)の一周年
③ご先祖様(故人)の一周忌
このように、万物・生命の周期の再生・再出発地点として大変重要視されています。
あれ?これって・・そのまんま『年神様』の3つの神格だよね?
それそれ。
どっちが先だったのかってくらい、『年神様』の神格とお正月の意味合いは似通っているんだよね。
って事で、以下「『年神様』とお正月との関係性」を中心に見ていこう!
年神様はお正月に何をしにやってくるの?
『年神様』はお正月に各家庭を訪問なされ、一年の幸福や健康を運んでくれるありがたい神様なんですが、さらにもう一つ重要な幸福を私たちに届けてくださいます。
それが「年(歳)をとる」という事。
『年神様』は、1年を過ごせるだけの生命エネルギーが詰まった年(魂の玉)を分けてくださると考えられてきたんです。
門松(かどまつ)について
曰く「松は千歳を契り、竹は万代を契る」
一年を通じて色を失う事が無い「生命力」の象徴である松と竹で飾り付けられた門松は、『年神様』が迷うことなく家にお越しいただくための「目印」の役目を果たしているそうです。
また、そのことは神様が直接宿る「依り代」の役割も併せ持つとみなされたことから、正月飾りの中でも特に重要視されています。
『門松』の別称としては、『飾り松』『立て松』『松飾』などがあるそうです。
『門松』は文字の通り、本来は松を中心とした飾りつけの事だよ。
現在は竹が中心のものが主流みたいになってるけどね。
鏡餅(かがみもち)について
鏡餅はお正月の一定期間「神棚」や「床の間」にお供えされる正月飾りの一つで、『年神様』に対する「お供え物」または「依り代」になると考えられているそうです。
その形が鏡に似ていることからとられた名です。
鏡は我が国では「この世とあの世との境」を現わすと考えられたことから、神霊(ここでいう『年神様』)の「依り代」(ご神体)として古くから用いられました。
またそれぞれを三種の神器に見立て・・
お餅=『八咫鏡』
橙(みかん)=『八尺瓊勾玉』
串柿=『天叢雲剣』別名『草薙剣』
三種類合わせて飾られることもあります。
鏡開き(かがみびらき)について
1月11日に神前・仏前・床の間などに飾られた「鏡餅」を開き(とりわけ)、家中で食べる事。
単に、神仏・『年神様』からのお下がりを頂くという意味合いだけでなく、『年神様』の「魂の入った依り代のお餅」を頂くことで、新しい一年を生き抜くことが出来る「命(魂)」が分け与えられると信じられてきました。
『鏡』と呼ばれるお餅は丸く白い形をしていますが、それは魂の形と同一視されています。
また『開き』と、一般的な物を分割する際に使う言葉『割る・切る』の表現を用いないのは、武士の世界の『切腹』を連想させるため、それら表現を避けたからだと言われています。
『鏡』はその形から=円満の象徴
『開き』は末広がりとして=永続の象徴
・・という事で、
『鏡開き』=『家族の円満が末永く続く事』
このような幸福への願いが込められているのでしょうね。
どんと焼き・左義長(さぎちょう)について
一般的には小正月・1月15日に行われる火祭りの事。
14日の夜から15日の日中(地域差あり)に、刈り取られた田んぼの中などに竹やワラを素材に組んだものを用意しそれを燃やす。
その際に正月中に飾られた門松や書初めなどを一緒に燃やし、その燃え上がる炎とともに『年神様』をお見送りする行事といわれています。
また、その火で焼かれた餅などをあわせて食べると、無病息災のご利益があると伝えられている地域もあるそうです。
お盆にも「送り火」の習慣が残っているように・・
どんと焼きにも不浄を払う神聖な炎によって、「下界に降りて頂いた神様や仏様を(神仏の世界に)ご案内し、お見送りする」といった意味合いが込められているのでしょうね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
実はお正月に関連する行事・儀式は、この『年神様』を家にお招きし、そしてお見送りするのに「失礼のないように」「おもてなし」するためのものがほとんどだったのです。
昔の日本人がどれほど恭しく『年神様』をお正月にお迎えしようとしたのか、そして家族の日々の平穏、年(歳)を重ねられる事を、喜びをもって迎え入れたかが分かっていただけたと思います。
・・あ、あの~
そろそろ歳は重ねたくないので・・『年神様』にはお越しいただかないか、もう少しゆっくりしていただく事って出来ないの・・かなぁ~?
本音(・・もう歳は・・いや)ボソッ
いいのかな~そんなこと言って・・?
「『年神様』からその年の間生きられる通行手形(パス)を渡されている」という解釈の方が正解なんだぜ?
この年を生きる魂(生命力)なくして、次の年はやってこないだろ~
今この一瞬も「命=年」・・有り難くいただいておきな!ゲラゲラ
かあちゃん・・
あきらメロン。果物は逆に熟したほうがおいしいっていうし・・ゲラゲラ
『年神様』をお迎えし、お正月の間家中にとどまっていただく目印が「門松」。
お供え物・依り代の役割を担っているのが「鏡餅」(魂は丸い形と信じられていた)だよ。
『年神様』がお帰りになった後、それを「鏡開き」で分割し「『年神様』から年の詰まった魂をお餅としていただく」事で、一年を健康に乗り切ることが出来ると信じられてきたそうです。
お正月行事の締めくくりとなる「どんと焼き・左義長(さぎちょう)」の聖なる炎によって『年神様』を丁寧にお見送りする・・と。
という事で、
みなさんもお正月は準備万端整え、身を清め、厳かな気持ちで幸運の『年神様』をお迎えしましょうね!
おしまい。