歌・読み・意味
『君が代の 年の数をば 白妙の 浜の真砂と 誰かしきけむ』
(きみがよの としのかずをば しろたえの はまのまさご(まなご)と だれかしきけむ(ん))
意味:お仕えする我が君の治世の悠久(年数)を、浜一面に散らばる真っ白な砂の数として、誰が敷き詰めたのでしょう。
出典・作者
出典:新古今和歌集(賀歌710)
作者:貫之(紀貫之)
歌の背景
『貫之集』によると「延喜2年、白浜を題とした左大臣(邸宅)の屏風歌」として詠まれたそうです。
白浜は紀伊の国(現和歌山県)の枕詞で、和歌山県白浜町の海岸の事。別名で「白良」とも呼ばれていました。
当時貴族の間では屏風や襖を賀歌などで飾ることが流行っていました。本歌も「今上(醍醐・朱雀)陛下の御代が末永く続きますように・・」との願いが込められていて、屏風を飾る歌として大変相応しいものだったに違いありませんね。
紀貫之(きのつらゆき)について
生年:はっきりしない(860~870年代)
没年:天慶8年(945)5月18日
木工権頭:従五位上
紀友則・壬生忠岑・凡河内躬恒・とともに勅撰和歌集として初の『古今和歌集』を撰上。
貫之の歌は勅撰和歌集に400首を超える作品が入集(最多数)されていて、当時としてもまた現在においても日本の代表的歌人の一人として数えられています。
貫之が土佐の国(現高知県)から京に向けての道中に記したとされる『土佐日記』は、日本文学史に残る日記の最古例の一つとして有名で、嘉禄元年(1235)藤原定家による書写は国宝に指定されています。
雑談
百人一首の「人はいさ~」で有名な人でしょ?
三十六歌仙の一人。
平安時代の代表歌人でおじゃるよ。
でも世間的には、『土佐日記』の作者としての方が有名かもしれないね。
『土佐日記』は道中の出来事を冗談を交えて綴っていて、単に歴史的資料としてでなく読み物としても面白かったりするからね・・で、おじゃる。
特に、土佐で亡くした「娘」への気持ちが込められた箇所は胸が締め付けられるでおじゃるね・・
貫之のその他の代表歌:
『霞たち このめも春の 雪ふれば 花なきさとも 花ぞちりける』
意味:霞がたち、木の芽が芽吹く春になっても雪が降ったならば、未だ花の咲かない里にも、まるで”花と散るように見える雪”が降るのだろうか・・。